既往症とは?

アメリカの旅行保険や留学生用の保険には、既往症(Pr-Existing Condition)に関する規則があるのが普通です。既往症については完全に保険適用外という保険もありますが、既往症に対する保険適用については一定の免責期間が設定されており、免責期間を過ぎれば既往症もカバーされるという保険もあります。免責期間とは、保険が適用できない期間のことです。

たとえば、既往症に対して12か月の免責期間ががあるとすると、保険に加入してから12か月間は、既往症には保険が適用になりません。

それでは、既往症の定義について解説します。既往症の定義は、保険会社によって詳細がことなりますが、一般的には下記のような内容です:

既往症とは:

  • 保険加入前に発症していた症状、病気、疾患、または保険加入前に発生していた怪我やそれらが原因と判断される症状や合併症
  • 症状が出ていなくても、保険加入前に発生したイベントが原因で起こったと判断される症状や合併症
  • 保険加入前に医師から検査や治療を受けるようアドバイスされていた症状やそれに起因する症状
  • 保険加入前から処方薬を服用していたか、または保険加入前に処方箋が発行されていた症状
  • 精神的な病気や症状、先天性の病気や症状も既往症に含まれます
  • 保険加入前に妊娠していた場合、妊娠や妊娠合併症も既往症扱いとなります

既往症とは、保険加入前の何年間に発生した症状なのか:

保険加入前の何年間の症状や怪我が既往症となるのかは、保険会社によって定義が異なりますが、通常、短い場合で18か月、長い場合で36か月、または48か月です。

既往症の免責期間は何か月程度なのか:

保険会社によっても、また同じ保険会社でも保険プランによって異なりますが、通常、短い場合で3日、長い場合で48か月です。海外旅行保険や留学生用保険の典型的な既往症免責期間は3か月、6か月、12か月、18か月、24か月、36か月のいずれかです。

既往症の免責期間内には、既往症は全くカバーしないのか:

既往症をカバーしない旅行保険でも、多くの保険プランには、下記のような限定的な既往症のカバレージがあります。購入を検討される保険プランにこのようなベネフィットが付随しているかどうか、パンフレットやオンラインのベネフィット詳細ページでご確認ください。

Acute Onset of a Pre-Existing Condition Benefit(突発的な既往症の再発の補償):保険開始後に予期せず既往症が突然再発した場合で、急速に悪化し、24時間以内に医療機関を受診する必要が生じた場合に、金額を限定して補償します。通常、年齢制限があり、高齢者の場合はこのベネフィットはありません。(制限される年齢は保険会社によりますが通常70歳以上)慢性的な既往症や先天性の既往症、または、保険加入前から徐々に悪化していた既往症はこのベネフィットの対象外です。また、保険加入前から受けていた治療や医師から進められていた治療、服用していた処方薬や服用を進められていた処方薬もこのベネフィットの対象外となります。このベネフィットが付いている場合でも、通常、旅行先がアメリカの場合とアメリカ以外の国の場合、もしくは保険加入者がアメリカ国籍保有者かそれ以外かによって、補償の内容が異なる場合があります。また、心臓発作と脳卒中など、特定の病気のみに限定してカバーする場合もあります。

既往症についての詳細は保険会社や保険プランによって異なりますので、既往症がある方は、保険加入前によくご確認ください。

新型コロナウイルスと旅行保険

新型コロナウイルス(COVID-19、武漢肺炎、新型肺炎)は、国によってはまだ感染拡大が続いており、万が一海外旅行中に感染した場合の検査費用や治療費、入院費、あるいは最悪の事態になった場合の緊急出国または搬送費用などを旅行保険でカバーできるのか、ご心配な方も多いと思います。コロナウィルス関連医療費に対する旅行保険の取り扱いは、保険会社によって異なっており、また、日々変更になっていますので、保険会社からのEメールやウェブサイトでの発表に注意されることが重要です。下記は、6月1日現在の、各保険会社の取り扱いです。新型コロナウィルス関連の医療費、COVID-19の治療費をカバーする旅行保険のページもご参照ください。

Seven Corners社(リエゾントラベル保険リエゾンスチューデント保険インバウンド保険など):従来のリエゾンプランは新型コロナウィルス関連の検査費用、医療費などは、一切カバーしませんが、新たに、リエゾントラベル・プラスリエゾンスチューデント・プラスワンダー・フリークエント・トラベラー・プラスというプランの提供が始まりました。これらの新しいプラン(プラン名に「プラス」が付くプラン)は、COVID-19 の医療費もカバーします。ただし残念ながら、インバウンドUSA保険には、「プラス」プランはありません。

TOKIO Marine HCC社(アトラス トラベル などの短期旅行保険):2020年7月15日以降の購入であれば、アトラストラベルは、COVID-19の医療費をカバーします。ただし、新型コロナウィルス感染拡大が原因となる、旅行キャンセル費用、交通機関の遅延、手荷物の紛失などはカバーしません。カバーするのは、渡航先で新型コロナウィルスに感染した場合の医療費のみです。

TOKIO Marine HCC社(StudentSecure 留学保険):2020年5月15日以降の購入であれば、コロナウィルス感染に起因する医療費もカバーします。ただし、新型コロナウィルス感染拡大が原因となる、旅行キャンセル費用、交通機関の遅延、手荷物の紛失などはカバーしません。カバーするのは、渡航先で新型コロナウィルスに感染した場合の医療費のみです。

IMG社(パトリオット トラベルなどの旅行保険): パトリオット・アメリカ・プラスと、パトリオット・アメリカ・プラチナは、2020年9月1日以降の新規購入であれば、新型コロナウィルス関連の医療費と、COVID-19による死亡の場合の母国への遺体搬送費用もカバーします。これ以外のIMG社の旅行保険(留学保険以外)は、米国CDCがレベル3の渡航制限を出している国や地域で感染した場合にはカバーしません。CDCは2020年3月27日に全世界対象のレベル3勧告を出しています。

IMG社(パトリオット・ エクスチェンジ、スチューデント・ ヘルス・アドバンテージなどの留学生用保険):新型コロナウィルス関連の医療費もカバーします。ただし、新型コロナウィルス感染拡大が原因となる、旅行キャンセル費用、交通機関の遅延、手荷物の紛失などはカバーしません。カバーするのは、渡航先で新型コロナウィルスに感染した場合の医療費のみです。

Global Underwriter社(ディプロマット トラベルなど):短期用(1年まで)のDiplomat Internationalは新型コロナをカバーしませんが、Diplomat Americaはカバーします。また長期用(最低3か月から1092日まで)のプランであるDiplomat LT(Diplomat Long Term)は、米国向けのプランも米国外プランも、COVID-19の医療費、検査費をカバーします。ただし、Diplomat America、Diplomat LTとも、新型コロナウィルス感染拡大が原因となる、旅行キャンセル費用、交通機関の遅延、手荷物の紛失などはカバーしません。カバーするのは、渡航先で新型コロナウィルスに感染した場合の医療費のみです。

Petersen社(The Bridge Plan, International Major Medical, USAway Medical ):新型コロナウィルス関連の検査費用、医療費などは、一切カバーしません。

<注意>
新型コロナ感染、COVID-19の治療をカバーする保険でも、「医学的に必要ではない」とみなされるPCR検査や入院はカバーしない場合がほとんどですのでご注意ください。医学的に必要でない場合とは、発症して医師が必要と認めた場合の検査や入院ではない場合で、出入国、飛行機搭乗、特定の施設への入場などの目的で受けるPCR検査や、無症状でも一定期間の隔離のために要求される入院などです。

海外旅行保険は通常、既往症は適用外です。そのため、新型コロナウィルス感染による医療費をカバーする場合でも、万が一、肺炎治療中に合併症を発症し、その合併症が既往症だった場合、保険適用外となる場合も考えられます。また、渡航制限が出た後に、渡航制限国へ渡航する場合には、旅行保険では新型コロナウィルス感染をカバーしない可能性があります。また、新型コロナの医療費をカバーする保険でも、新型コロナ感染が原因となって起こった旅行遅延やキャンセルの補償はありません。コロナウィルス関連の補償は頻繁に変更になる可能性がありますので、旅行保険を購入される前に、コロナウィルス感染の取り扱い、既往症の取り扱い、および、保険適用外の項目について、よく確認されることをお勧めします。